- リディア・デイヴィス『ほとんど記憶のない女』岸本佐知子訳、白水社、2005
- 作者: リディアデイヴィス,Lydia Davis,岸本佐知子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2005/10
- メディア: 単行本
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おもしろい。
「ブッキッシュ」かつ「書くことについて書く」ような作品が大っ嫌いな人でも、本書なら許せるかもしれない。ユーモアがあるから。
『さようなら、私の本よ!』(大江健三郎)の読者なら長江古義人の「徴候」を彼より華麗かつ厳密に実践(=「そんなことをして何になる!?」)している人物を表題作「ほとんど記憶のない女」に見いだすことになるかもしれない。フーコー読みなら「フーコーとエンピツ」で思わず膝を打つところがあるかもしれない。つねに彼との(ディス)コミュニケーションにわだかまりを感じている人なら「たいていの場合彼が正しい」によって真実を知ることになるかもしれない(しかしもちろん事態は決して変化しないであろう)。ウェブ日記あるいはブログ作者なら「グレン・グールド」によって自らの「ブログ作法」の救いようのなさを悟ることになるかもしれない。
……もちろん、本書を読み終えることで「ブッキッシュ」かつ「書くことについて書く」ような作品がさらに大っ嫌いになることもあるかもしれない。ご注意を。
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