吉川浩満(よしかわ・ひろみつ)

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★ロラン・シェママ、ベルナール・ヴァンデルメルシュ編『精神分析事典』小出浩之ほか訳、弘文堂★『早稲田文学 2004年1月号 世界の端で、妄想をさけべ』早稲田文学会

微熱、眩暈、喉痛。実に調子がわるい。

大人の哲学と子どもの哲学

トマス・ネーゲル『コウモリであるとはどのようなことか』(永井均訳、勁草書房)の「訳者あとがき」における、「大人の哲学」と「子どもの哲学」の違いについての永井のコメントをときどき思い出す。なお、これは後に『〈子ども〉のための哲学』(講談社現代...

プラグマティズムの帰結

自分にとっての「プラグマティズムの帰結」が気になりだしてずいぶん長い時間が経った。先日、リチャード・ローティ「トロツキーと野性の蘭」(『リベラル・ユートピアという希望』岩波書店)を読んで、彼がぼくよりはるかに(当たり前だが)遠くまで、ときに...

黙示録的語り

加藤尚武編『ハイデガーの技術論』(理想社)を斜め読み。ハイデガーの語りに魅力を感じつつも、最後にはいつも退けてしまう理由は、その語りの形にある。みもふたもなく言ってしまえば、こういうことだ。「昔はあらゆるものが本来的なありかたをしていたのに...

思っていることとやっていること

精神分析、とくにラカンの仕事が(違和感を覚えながらも)気になってしようがないのは、彼がこのことに照準を合わせているからだ。

今日も意味なく本を買い込んでしまった。
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★『小林秀雄全作品13 歴史と文学』新潮社 ★『小林秀雄全作品14 無常という事』新潮社 ★高橋徹『意味の歴史社会学』世界思想社 ★千葉俊二+坪内祐三編『日本近代文学評論選』岩波文庫 ★堀田喜衛『方丈記私記』ちくま文庫 ★川本隆史『現代倫理...
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ナノ粒子によるドラッグデリバリーシステム

炎症部分を狙い撃ち 薬を運ぶナノ粒子開発病気で炎症を起こしている部位に薬を効率的に運ぶドラッグデリバリーシステムとして利用できるナノ粒子の作製に世界で初めて成功したと、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)と大阪大の研究グループが13日、発表...

量子コンピュータ

「量子コンピュータ」に大きな一歩――NECと理化学研NECと理化学研究所は、結合した2つの固体素子で構成される量子コンピュータにおいて、世界ではじめて「量子絡み合い」を実現することに成功した。英国科学雑誌「Nature」2月20日号で発表し...

ヒトクローン

<ヒトクローン>禁止条約の議論を2年間先延ばし 国連で採択国連総会第6委員会(法律委員会)は6日、ヒトクローン禁止国際条約に関する議論を2年間先延ばしする決議案を賛成80カ国、反対79カ国の1票差で採択した。国連では、治療目的を含めたヒト胚...
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問題にたいする態度

「問題にたいする態度」とでもいうようなことをめぐって自問することがある。どんな問題でも、ある観点からしたら適切な立てられかたをしておらず、そこからしたらあっさりと相対化できる。実際、自分が採用した観点の十八番であるマジック・ワードを用いれば...
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一塁送球

全国数十万の才能のない野球少年のひとりであったころ。当時は「大リーグ」のプレーをじっくりと観られる機会などめったになかったのだが、それでも大リーガーたちが天然芝のグラウンドで繰り広げるプレーは少年の脳裏に強烈な印象を残した。なかでも鮮烈な驚...
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読書と鼻汁

インフルエンザで倒れ一週間を棒に振ってしまった。眠れないまま布団の中で唸っているのもなかなかつらい。こうしてはいられない。苦しみながらもなにか本を読もうと手にとったのが、(哲劇では)おなじみのエピクテトス『人生談義』(岩波文庫)。すると、だ...
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会社はいろいろ、管理もいろいろ、訓練だっていろいろ、咲き乱れるの

複数の会社を渡り歩いてみると、(当然のことながら)管理と訓練の様態や程度もそれぞれ違っておもしろい。経験したなかで、いちばん「なっていない」会社は、こんな風だった。管理する側(経営者、管理職)は立場上、会社の業績や経済の動向などを引き合いに...
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走り納め(未遂)

今日は今年の走り納めをしようと早起きをした。風の冷たさが身体にこたえる季節だが、今年最後のライディングに気合いを入れ直し、Schottのライダーズ・ジャケットに身を包んだ。ガレージに眠るローライダーを外に連れ出す。朝の光に黒い車体が輝く。閑...
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エピクテトスからマルクスへ

(政治を)ひとまず「ある範囲の人びとすべてを拘束することがらを決定すること」と定義しよう。――橋爪大三郎「政治」、『事典 哲学の木』講談社エピクテトスはストアの倫理をその極点にもたらした。また彼に至って倫理は哲学と外延を同じくすることになる...
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今年の3冊(2002年)

今年もいろんなことがあった。本も売るほどたくさん出た。というわけで、今年に出た本のベスト3を(順不同)。エリック・ホッファー自伝―構想された真実作者: エリックホッファー,Eric Hoffer,中本義彦出版社/メーカー: 作品社発売日: ...
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新世紀のことば――WとD、食事とセレナーデ

いわゆる哲学の本を読みはじめてからというもの(それはたった十年前のことだが)、私はずっと、一方でウィトゲンシュタイン、他方でドゥルーズという二人のアイドルを持っていた(相手をアイドルにしてしまうのは私の致命的な欠点である)。私の二人との接し...