このたび刊行される『絓秀実コレクション』(全2巻)におまけの文章を寄稿しました。
- 吉川浩満「米子のふたつの夜――李さん、絓さん、レフト・アローン」『絓秀実コレクション1 複製の廃墟──文学/批評/1930年代』blueprint、2023/7
思想や哲学、芸術など諸ジャンルを横断し、斬新な論考を多数発表してきた稀代の批評家、絓秀実。三島由紀夫や花田清輝らに関する初期文学論から、1968年をめぐる社会運動・政治思想論、さらには映画、歌謡曲、B級グルメなどの風俗エッセイまで、これまで絓秀実は対象をつねに「いま」論じるべき意義から問いなおし、ポレミカルな批評=批判として表現してきた。
天皇制、フェミニズム、大学問題など、現在も紛糾する諸問題のアポリアを剔抉(てっけつ)してきた絓秀実の批評こそ、「いま」読みなおすことが求められている。事実、目下の難題を乗り越えようとする若い世代を中心に、絓秀実の評論は今まさに再発見されつつある。そうした読者の期待に応えるべく、本コレクションは構想された。現在では入手困難となった『メタクリティーク』『複製の廃墟』『「超」言葉狩り宣言』をはじめとした10冊の単著にとどまらず、単行本未収録原稿からも複数厳選。多様なテーマから編んだ全2巻となっている。
外山恒一、吉川浩満、木澤佐登志、綿野恵太ら、絓秀実の思想に通暁した批評家や思想家、編集者などの特別寄稿を掲載。
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