12月14日付の毎日新聞「2014この3冊」にて、作家の池澤夏樹さんが拙著『理不尽な進化──遺伝子と運のあいだ』(朝日出版社)を挙げてくださいました。ありがとうございます!
『理不尽な進化──遺伝子と運のあいだ』は進化を絶滅の側から見直すという形で展開される科学啓蒙書。学説の解析はまことに大胆で、文章は機知に富む。ドーキンスとグールドの論争を鍵として、現代思想の鳥瞰図が見事に描かれる。
フリオ・コルタサルの隣に置いていただける光栄に、思わず言葉にならない叫び声を上げた日曜の朝でした。紹介文もじつに見事です(私などがこの大作家に見事と言うのも妙ですが、しかたありません)。
池澤夏樹氏といえば、大学時代にほぼリアルタイムで読んだ『マシアス・ギリの失脚』(1993年)が強烈でした。しかる後に、当時すでに中公文庫に入っていた『スティル・ライフ』へと進んだ次第。近年では、なんといっても「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」です。この全集に石牟礼道子『苦海浄土』三部作を一挙収録して現代に甦らせてくれたご恩は一生忘れません(私などが恩義を感じるのも妙ですが、でも、そう言いたくなることってあるでしょう)。つい先日刊行開始された「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」も話題です。
それにしても。そんな池澤氏が、よりにもよって拙著を挙げてくださるとは夢にも思いませんでした。優れた作家というものは、なにを読んでいるのか(読んでくれているのか)わからないものであるなあ、と感じ入った一件でした。
ところで、著名人が「今年の3冊」を選ぶ毎日新聞恒例の同企画ですが、10年前の2004年にも、私(と山本貴光)の最初の著作である『心脳問題──「脳の世紀」を生き抜く』(朝日出版社)を挙げていただきました(そのときの選者は心理学者の小西聖子さん)。私はもともと在京の新聞社では毎日新聞と東京新聞が好きだったのですが、これでより好感度が増しました。逆風のなかではありますが、がんばってほしいと思います。
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