『自然の占有』c/w高山宏@『図書新聞』

  • 高山宏「P・フィンドレン『自然の占有』を読む――あらゆる分野の「結び目」」、『図書新聞』2006年1月28日号、図書新聞

サブタイトルは「人文学復活の実験場――それは十年前に始まった」。

他人語りと自分語りと人文語りがギリギリの筆(舌?)の滑り加減でもって繰り出される。その寸止め海峡的なノリが好きだ。

ぼくは高山宏には特別な恩義と愛着を感じていて、それというのも、いわゆる文物なるものにまるで無縁であったぼくが――生半可かつ不十分にではあれ――そうしたものに親しむきっかけを与えてくれたのが、彼が著した小さな本だったから。たった十年ちょっと前のことだけれど。

残念ながらぼくはこれまで澁澤龍彦にも種村季弘にもほとんど魅力を感じたことがない。でも(大雑把に同じフォルダに入れられているだろう)高山宏の仕事にそれを感じるのは、上述したような彼の独特な「ノリ」とわたしの偶然的な「個人的な体験」(©大江健三郎)のせいかもしれない。

  • ポーラ・フィンドレン『自然の占有――ミュージアム、蒐集、そして初期近代イタリアの科学文化』伊藤博明、石井朗訳、ありな書房、2005
自然の占有―ミュージアム、蒐集、そして初期近代イタリアの科学文化

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