メシ食いながら久々に『栄光のライダー』を観る。
- 『栄光のライダー』(アメリカ/89分/1971)
監督:ブルース・ブラウン/出演:マート・ローウィル、スティーヴ・マックイーンほか
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かのスティーヴ・マックイーンも出演。『栄光の〜』などという邦題になったのは彼が出演しているからだろうと思われる。しかし内容はぜんぜん「栄光」とかそういうものではない。むしろ栄光なんかとは無縁のバイク好きの人びとを活写したドキュメンタリー映画だ。マックイーンも役者としてではなく、ただのバイクレース好きのおっさんとして画面に現れる。この映画の主役はマックイーンではなく、あくまで「バイク」であり、また日曜日にバイクに乗ることを楽しみとしている「人びと」だ。プロ/アマ問わずさまざまなレースが紹介されるが、とくにマート・ローウィルが走るダート・トラックのレース場面が迫力満点。他方で、背景に流れるテーマ曲「パッパラッパー、パラッ、パー、パラッパー♪」の脱力ぶりは、聴くたびに椅子から転げ落ちそうになる。
原題はOn Any Sunday。なんともすばらしいタイトルじゃないか。ぼくも長らくOn Any Sunday(またはOn Any Saturday)にバイクに乗ることを至上の喜びとしてきた。しかし会社勤めを辞めてからというもの、On Anyday(Because Everyday is Sunday)どころか、逆にバイクに乗るモチベーションが低下してきているのは嘆かわしいかぎり。
ちなみに、ぼくの「単車映画ベスト3」のうち、2本は10年ちかく不動のままだ。その2本とは、この『栄光のライダー』と『エレクトラグライド・イン・ブルー』(*)。
- (*)邦題は『グライド・イン・ブルー』。拙ブログではタイトル表記は基本的には決められた邦題に従っているが、この映画の邦題だけはどうしても気に入らないので『エレクトラグライド・イン・ブルー』とさせていただく。だって「エレクトラグライド」というのは主人公たちが乗る白バイ=ハーレーダビッドソンのモデル名で、それを勝手に「グライド」だなんて略してしまったら意味がわからなくなるじゃないか(最近また別の「エレクトラグライド」(例の巨大レイヴ)が出てきて余計にややこしい)。
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原題はElectra Glide in Blue。こちらは私服刑事に憧れるアリゾナの白バイ警官ジョンが経験する出世と没落を描いた美しくも悲しい劇映画。監督はバンド「シカゴ」(Chicago)のプロデューサー、ジェームズ・ウィリアム・ガルシオ。シカゴのメンバーたちも出演しており、なかなかいい味を出している。その意味でこの作品は音楽映画ともいえる。アメリカン・ニュー・シネマの単車映画としては、まっさきにあの『イージー・ライダー』が思い浮かぶが、ぼくは『エレクトラグライド・イン・ブルー』のほうがずっと好きだ(いや『イージー・ライダー』もたしかにいいんだけど)。そういえば、2年前にこの作品とDVDで再会したときの喜びを書いた記事(http://d.hatena.ne.jp/clinamen/20031227/p2)があるので、ご興味があればそちらも参照してほしい(同じようなことしか書いていないが)。
先ほど「エレクトラグライド」(ElectraGlide)というのはハーレーダビッドソンのモデル名だと書いた。先代機種はDuoGlideといったのだが、新たにエレクトリック・スターター(セル・スターター)が付いたのでElectraGlideになったというわけ。つまりあの重い重いキックペダルなどを漕ぐ必要なく、いまのバイクと同じようにボタンひとつで(=エレクトリックに)エンジンがかかるようになったということ。ハーレーダビッドソンお得意のテキトーなネーミングだ。そして、ぼくの愛車(の1台)もまた、ElectraGlideだ。年式は1972年。
ところで、『エレクトラグライド・イン・ブルー』が公開されたのは1973年で、ElectraGlideがデビューしたのは1965年。ってことは、映画で使われた白バイ=ElectraGlideはたぶん1965〜1972年式のモデルと思われる(制作期間を考えると1973年式の可能性は低いと勝手に推測する)。で、画面をよく見てみると、当時最新の1972年式つまり現在のぼくの愛車もまた使われていることがわかる(最新の1972年式で出発したはずの白バイ警官が、別のシーンでは旧年式のものに乗っていたり、またはその逆だったりと、なかなかおもしろい)。マニアックな話で恐縮だが、フロントブレーキの形状(ドラム式かディスク式か)を見てみれば、そのElectraGlideが1971年以前のモデルなのか1972年(以降)のモデルなのかが識別可能なのだ(フロントブレーキにディスク式が採用されたのが1972年式からだという理由による)。
映画のなかでぼくの愛車と同年式のElectraGlideが砂漠をかっ飛ばす――あの鈍重でバカでかいハーレーダビッドソン=キング・オブ・ハイウェイがアリゾナの砂塵を巻き上げながら「軽快に」走る!――シーンを見るのはなかなか楽しいものだ。
さて。
「単車映画ベスト3」に話を戻すと、残りの1本分はつねに「空席」だった。というか、そのときどきに応じて変わってきた。先の『イージー・ライダー』になったり、マリアンヌ・フェイスフルとアラン・ドロンの『あの胸にもういちど』になったり、マックイーンの『大脱走』になったり、ピーター・フォンダの『ワイルド・エンジェル』になったり、マーロン・ブランドの『乱暴者』になったり、はたまたアーノルド・シュワルツェネッガーの『ターミネーター2』になったり(これ、前半は立派な単車映画だ)。
空席を埋める次の作品はなんだろう。まだ観てないけど『モーターサイクル・ダイアリーズ』なのかな。
ちなみに下の写真はぼくのElectraGlide。
【関連記事】
◇哲劇メモ > [単車]
http://d.hatena.ne.jp/clinamen/searchdiary?word=%2a%5b%c3%b1%bc%d6%5d
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コメント
「ストリートオブファイヤー」や「マッドマックス」はいかがですか?
なつかしい! どちらもすばらしいと思います。いやぁ、すっかり忘れておりました。ご教示ありがとうございました。>バイガーさん