なぜあなたはすでに哲学者なのか☆アメリカ哲学入門

快著『アメリカ哲学入門』の刊行記念イベントに登壇します。

開催日時は2023/11/2(木)19:30-21:30(JST)、会場は東京・下北沢の本屋B&B。オンライン配信、アーカイブ視聴あり。

難しそうな専門書が詰め込まれた本棚がそびえ立つ、大学の静かな研究室。こんもりと生い茂る髭を蓄えた高齢の男性が眉間にしわを寄せ、人生の意味や世界の存在といった大問題をめぐってああでもないこうでもないと自問自答を続ける――「哲学者」という言葉で多くの人が想像するのはこんな光景かもしれません。

しかし、ここでイメージされている姿――「大学」で、「長年の専門的トレーニング」を積んだ「男性」が、「知的パズルのような難問」を「理詰め」で「孤独」に「考える」という営み――のみが、正真正銘の哲学のあり方なのでしょうか?

こうした凝り固まった哲学像に異を唱えるのが、アメリカの女性哲学者ナンシー・スタンリックです。彼女は言います。哲学とは、「人間の理解や行為に対して観念が影響を与えること」であり、哲学的観念は「現実、知識、そして善き生についての人間の理解や行為を駆動する知的原動力」なのだと(「訳者解題」参照)。

この実践的=プラグマティスト的理解のもと、従来「哲学ならざるもの」として排除されてきた多くの思想家・運動家に光を当て、改めてアメリカ哲学の歴史をたどり直した著作が、2023年10月に邦訳された『アメリカ哲学入門』(勁草書房)にほかなりません。同書では、「ヨーロッパ系白人男性哲学者」を中心とする、アカデミアで支配的な哲学史観を問題視して、女性、黒人、ネイティブ・アメリカンを背景とする思想家たちの紡いできた知的伝統をも、「哲学」の重要な展開だとして捉え直しています。

本屋B&Bではこの刊行を記念してトークイベントを開催いたします。
ご登壇いただくのは、『アメリカ哲学入門』を翻訳した藤井翔太さん、そしてゲストに文筆家・編集者の吉川浩満さん、ライターの宮崎智之さん。

大学で哲学を教えている藤井さんは学生時代、吉川さんの著作を通じて哲学に親しんだといいます。吉川さんは、哲学をテーマにした文章を精力的に発表し続けており、大学で倫理学(道徳哲学)を教えつつ、哲学書を読む一般向けの勉強会を主催もしていながら、“非”哲学者を自称しています。日本文学をバックグラウンドにもつ宮崎さんは、日常をつぶさにかつ鋭く観察・描写するエッセイストでありながら、「エッセイ」という形式それ自体のアイデンティティについて哲学的な問いと関心を抱きつつ、吉川さんの勉強会に参加しています。

今回のイベントでは、哲学とは何か、哲学に入門するとはどういうことかといった問題を念頭におきつつ、アカデミアに閉じられてきた「哲学」観を解きほぐす本書の魅力を存分に語っていただきます。どうぞお楽しみに!

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました