非哲学者による非哲学者のための(非)哲学の講義☆3rdシーズン

酒井泰斗さんとの(非)哲学講義、サードシーズン。コロナ禍で間が空きましたが開催します。

  • 【講義】酒井泰斗、吉川浩満「非哲学者による非哲学者のための(非)哲学の講義」朝日カルチャーセンター新宿教室、2020/6/10, 7/8, 8/19

たぶん朝カルでの(非)哲学講義はこれで最終シーズンです。

 大人には様々な制約があります。他人への影響を度外視してものを考えるわけにはいかないし、自分の選択が他人からどのように見えるかも考慮に入れる必要があります。過去の経緯を踏まえ・未来を見据えたうえで、時間的制約のなかで行動しなければなりません。だから大人の生活の背後には、たくさんの「考えないでおくことにしたこと」が控えています。
 「考えていると話が進まない」「考慮すると面倒なことになりそうだ」「いろいろ考え直さないといけなくなるかも」……。そうしたものについて考えることは、たいていは役に立ちませんし、しばしば危険でもあります。そのせいで仕事が進まなくなったり、混乱が生じたりするかもしれません。深甚なダメージを食らうことだってありうるでしょう。
 しかし、それらは黙っておとなしくしてくれるわけでもありません。たとえば疲れているとき、暇なとき、気が緩んだときに、それらはときおり大人の生活に闖入してくるのです。
 では、そうしたものとどう付き合えばよいのでしょうか。これがこの講座の課題です。
 この課題に答えるために特に行いたいのは、素朴で漠然とした直感的な疑問を、継続的に掘り進めたり部分的に解消したりできる問いに変換する練習です。そのために、毎回、受講生から疑問や論題を募り、「どうしたら より安全な仕方で、危険なものと まともに付き合えるか」に配意しながら、実演的に講義を進めていきます。積み上げ型ではなく、その都度特定の論題を使った演習型の講義なので、過去講義に来ていない方でも問題なく参加していただけます。
 この講座で「哲学」と呼ぶのは、こうした、解けるかどうかわからない問題への対処のことです。そして、この意味での「哲学」に無縁な人は誰もいないはずです。私たちは、「これだけが・これこそが哲学だ」とまで述べる気はありません。しかしこれを哲学的だと呼んでよいことまでは──哲学の専門家も含め──大方に認めてもらえるだろうと考えています。ゆっくりと考えていきましょう。 (講師・記)

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