- 作者: G.ムーア,坂本百大
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 1987/07
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 17回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
風邪でみたび寝込み中。しようがないので蒲団の中で日常言語学派の旅立ちを告げる記念碑的論文を再読。
系統的に誤解を招く諸表現は、言い表わされ理解される限りでは何ら矛盾を含んではいない。人々は実際に哲学的ナンセンスを語っているわけでは――彼らが哲学的思索に耽っているのでなければ、あるいは全く別のことであるが、彼らが警句を吐いているのでなければ――ないのである。彼らが行なっていることは、いかなる理由からであれ――一般には談話の簡潔性や単純性を求めてのことだが――記録されている事実の形式を明示する代りにそれを擬装するような表現を用いることにほかならない。そしてわれわれが抽象化や一般化を行なうのは、これらの形式を明らかにするためなのである。抽象化および一般化というこれらの過程は、哲学的分析が始まる前に起こる。事実、それらがもたらす結果こそ、哲学の主題であるように見える。哲学以前の抽象的思考は、系統的に誤解を招く諸表現によって常に誤った方向に導かれており、この疾患の治癒を本来の職分とする哲学的な抽象的思考ですら、現実にはその最悪の餌食の一つなのである。(同書、p.199)
◇哲学の劇場 > 作家の肖像 > ギルバート・ライル
http://www.logico-philosophicus.net/profile/RyleGilbert.htm
コメント