ああ、バートルビーよ。ああ、人間とは。

月曜社より、ジョルジョ・アガンベンバートルビー論が刊行される(7月中旬)。


バートルビー――偶然性について [附:ハーマン・メルヴィルバートルビー』]』
ジョルジョ・アガンベン著 高桑和巳訳
月曜社 定価(本体2400円+税) 46並製カバー装208ページ
ISBN4-901477-18-8
via ウラゲツ☆ブログ > 7月中旬発売予定:アガンベンバートルビー』(2005年6月7日)
http://urag.exblog.jp/2000449/

バートルビーとは、ハーマン・メルヴィルによる珠玉の作品「代書人バートルビー」に出てくる人物。ウォール街の代書人事務所にふらりと現れた青年バートルビー。彼は黙々と仕事をこなす有能な代書人だったのだが、ちょっとした仕事でも「せずにすめばありがたいのですが」(I would prefer not to)と丁重に断るようになり、ついには……。

(後のカフカを思わせる居心地のわるい読後感とともに、バートルビーが繰り返す「せずにすめばありがたいのですが」をどうしても流行らせたくなってしまう(?)ような名篇である。)

「代書人バートルビー」本体の新訳も付されるとのこと。既訳では下記の2冊が入手しやすいと思う。

幽霊船 他1篇 (岩波文庫 赤 308-5)

幽霊船 他1篇 (岩波文庫 赤 308-5)

ちなみにわたしはボルヘスの序文つきの国書刊行会「バベルの図書館」版が気に入っている。(「バベルの図書館」については次の拙ブログ記事を参照:http://d.hatena.ne.jp/clinamen/20050223/p3

とにかくバートルビーのファンとしては読まねばなるまい。

ついでに、ジル・ドゥルーズバートルビー論「バートルビー、または決まり文句」もあわせて読みたい。評論集『批評と臨床』に収録。

批評と臨床

批評と臨床

ウェブを検索していたら、ブランショバートルビー論の翻訳も見つかった。どの本にも再録されていない書評とのことで、たいへんありがたい。

◇ウラゲツ☆ブログ
http://urag.exblog.jp/

追記(20050717)

ついに書影公開。あいかわらず洒脱。帯文句もなかなか。

◇ウラゲツ☆ブログ > アガンベンバートルビー』書影公開
http://urag.exblog.jp/2101273/

コメント

  1. urag より:

    こんにちは。ウラゲツ☆ブログの(H)です。メルヴィルの「バートルビー」については、国書刊行会のものは取寄せで入手できるようですが、岩波文庫は品切でようやく来月重版されるそうですね。私は今回の編集校正作業において、国書刊行会版(坂井雅之訳)、岩波文庫版(坂下昇訳)、集英社「世界文学全集」版(土岐恒二訳)、筑摩書房「筑摩世界文學体系」版(阿部知二訳)の四種を主に参照したのですが、率直な感想を言えば、岩波文庫版は一番参考にしにくい個性的な翻訳でした。坂下先生には個人訳『メルヴィル全集』(国書刊行会)という偉業があるのですけれども、その筋ではどう評価されているのか、私はよく知りません。ちなみに私も「バベルの図書館」は大好きです。

  2. clinamen より:

    岩波文庫版、品切れなんですね。知りませんでした。お知らせありがとうございます。たしかに坂下訳は「個性的」ですね(笑)。酒本訳は読みやすかったです。集英社、筑摩書房版は未読でした。図書館にでかけたときに参照してみます。ご教示ありがとうございました。いまは詰めの作業をされているころでしょうか。刊行を楽しみにしています!

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